
4 成果と課題
「先生、たった6人でも、意見をまとめるのって大変だね。本当の話ならもっと大変なんだろうな。」といった感想を述べていた児童がいました。この感想に表されるように多くの児童たちが環境問題に対する取り組みの大変さを感じたようでした。
環境問題は多くの要因が複雑に関係して起こっていること、問題の解決は互いの協力なくしては成り立たないことなどを感じたのでしょう。こういったことを理屈でなく、感覚として感じてくれたことはとてもうれしいことでした。
そして、ただ大変と感じるばかりでなく、「将来本当にこんな町をつくってみたい。」といった感想を述べていた児童もおり、環境を保護することの大切さと楽しさも感じてくれたようでした。
また、他の学年の子ども達ともこの活動を行いましたが、学年が下がるにつれ、役割演技が難しくなり、なかなかその役に合った考えや態度がとれなくなるようです。そのように役割演技がうまくできない場合、討論や意見の対立などがまるでなく、話し合いに深まりがないまま終わってしまうこともありました。自然と人間の生活との関わりなどに関する基礎的な知識をある程度必要とするので、そういった知識が少ない場合の対処も考えなくてはならないでしょう。
こういった発達段階に応じた指導については文部省から出された環境教育指導資料2)の中にも書かれています。それによると、低学年では具体的な体験(動植物の飼育など)を通して自然に対する感性を育てること、中学年では自分たちの生活する地域の環境を学ぶこと、そして高学年になると物質の連鎖や循環といった考え方から環境について考えていけるようにすることなどが望ましいとされてます。
同様なことは1977年のトビシリ宣言においても述べられています。環境教育の原則の一つとして「環境についての感性、知識、問題解決技術、価値観の明確化などを発達段階に応じて形成すること」3)ということが明示されたのです。
文献
1)千葉県環境部:環境学習ガイドブック、p.140〜143、千葉県環境財団(1994)
2)文部省:環境教育指導資料(小学校編)p.16〜17、大蔵省印刷局(1992)
3)千葉県環境財団1まんが環境白書ちば(環境学習編)、p.37(1996)
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